誰を国民とみなすのか? [雑学]
この問題はかなり普遍的に存在します。なにも、日本社会での日本人と在日朝鮮・韓国人の問題だけではありません。~中略~
一つは、同じ血統を受け継ぐ民族が国民になるという考え方です。ヨーロッパでの代表はドイツです。日本もこのタイプです。
~中略~
ドイツは、二十世紀の後半に労働力不足から移民を受け入れましたが、長いこと、移民に国籍取得の権利があるとは考えませんでした。
国籍というのは、あくまで国家の裁量で与えるものであって、二世になろうと、三世になろうと、移り住んだ人間には「国民になる権利」があると考えなかったのです。
もう一つは、肌の色が違おうとどこから来た人間であろうと、国民国家の構成員となる民族は、むしろ、共通の言語や社会規範を受け入れることによって決まるという考え方です。この典型はフランスです。
~中略~
そして三つめは、共通の国語をもちますが、それ以外の宗教、思想、信条、などには、あまり深く干渉しないタイプの国です。
オランダ、ベルギー、イギリスなどヨーロッパにはわりあいとたくさんあります。アメリカやオーストラリアのように、最初から移民でできあがったのもこのタイプの国です。
イスラームから世界を見る
内藤 正典 (著)
筑摩書房 (2012/8/6)
P212
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