キリスト教とルネサンス [宗教]
橋爪 キリスト教のふしぎは、音楽、美術などの芸術に深い影響を与えていることです。
文学にも影響は及んでいるが、芸術ほど直接的ではない。
まず、音楽。音楽はキリスト教の場合、禁止されなかった。
イスラムには宗教音楽がありません。禁止なのです。ですから、アザーン(礼拝の呼びかけ)もクルアーンの朗唱も、私たちが聴くと音楽みたいでも、絶対に音楽ではないとされている。音楽があるとすれば、世俗音楽なので、宗教は音楽に影響を与えない。
ところが、キリスト教はそこがあいまいだった。教会で、音楽を歌ってもいいし、歌わなくてもいい。教会で、ミサのときに、あんまりやることがない。そこで、時間つなぎに歌うことにした。それで、グレゴリオ聖歌とかができたんですけれど、これは実は、「ユダヤ教の旧約聖書の朗唱の節回しを真似したものなんです。~中略~
絵画について言うと、偶像崇拝がを禁止しているキリスト教に宗教画があるのはおかしいことなのです。「でも、キリスト教徒はあまり聖書を読まなかったし、そもそも字が読めなかったりしたので、絵で見せるしかなかった。そこで、イコンとか聖人の像とかイエス・キリストの像とかがどっさりつくられた。
ルネサンスになると、豊富な資金を背景にカトリック教会がつぎつぎ注文を出したので、ダヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロと、宗教美術の黄金時代を迎えます。
ふしぎなキリスト教
橋爪 大三郎 (著), 大澤 真幸 (著)
講談社 (2011/5/18)
P320
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