SSブログ

アラインゲンガー [言葉]

我々は何故に山へ登るのか。ただ、好きだから登るのであり、内心の制しきれぬ要求に駆られて登るのであるというだけでよいのであろうか。
それなら酒吞みが悪いと知りつつ好きだから、辛抱が出来ぬからといって酒を吞むのと同じだといわれても仕方があるまい。だから我々は山へ登ることは良いと信じて登らなければならない。山へ登るものが時に山を酒吞みの酒や、喫煙者の煙草にたとえているのは実に片腹痛いのである。
もしも登山が自然から色々の知識を得て、それによって自然の中から慰安が求めえられるものとするならば、単独行こそ最も多くの知識を得ることが出来、最も強い慰安が求めえられるのではなかろうか。
何故なら友とともに山へ行くときは時折り山を見ることを忘れるであろうが、独りで山や谷をさまようときは一木一石にも心を惹かれないものはないのである。
もしも登山が自然との闘争であり、自然を征服することであり、それによって自然の中から慰安が求め得られるものとするならば、いささかも他人の助力を受けない単独行こそ最も闘争的であり、征服後において最も強い慰安が求めえられるのではないだろうか。
ロック・クライマーはただ人が見ているだけでも独りで登るときよりはずっと気持ちが違うというではないか。

新編 単独行
加藤文太郎(著)
山と渓谷社 (2010/11/1)
P35

新編 単独行 (ヤマケイ文庫)

新編 単独行 (ヤマケイ文庫)

  • 作者: 加藤文太郎
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: 文庫

DSC_4593 (Small).JPG求菩提山

P39
外国にはパーティの一員がスリップした場合にこれを他の隊員が支持しえないような物凄い岩場から生まれたアラインゲンガーがあるそうだが、かくの如き優秀なアラインゲンガーをつかまえてアラインゲーエンの危険をとく人もあるそうだ。
だから単独行者よ、見解の相違せる人のいう事を気にかけるな。もしそれらが気にかかるなら単独行をやめよ。
何故なら君はすでに単独行を横目で見るようになっているから。
悪いと思いながら実行しているとすれば犯罪であり、良心の呵責を受けるだろうし、山も単独行も酒や煙草になっているから。
良いと思ってやってこそ危険もなく、心配もなくますます進歩があるのだ。弱い者は虐待され、ほろぼされて行くであろう。
強い者はますます強くなり、ますます栄えるであろう。
 単独行者よ強くなれ!

新編 単独行 (ヤマケイ文庫)

新編 単独行 (ヤマケイ文庫)

  • 作者: 加藤文太郎
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: 文庫

 学生時代からの登山好き。五〇代に入ってからも、三連休にはだいたい山に向かってしまうという友人がいる。原則として単独行である。雪のある季節にも入山するから、ある日、「そろそろ山は控えたほうがいいんじゃないか。もう若くはないんだから」と口を出したことがある。
 すると、彼はちょっと胸を張るようにして、こう言った。
「まだ、大丈夫だと思っているんだ。オレは絶対に無理しないから。ひとりのほうがいいのはマイペースで登れるからなんだ。疲れたと思えば、すぐに休めばいいんだよ。人と一緒だと、つい相手のペースに引っ張られるからな」
 これを聞いて、私は、「彼なら大丈夫だ」と安心した。休むタイミングを心得ていれば、疲れは蓄積しにくい。疲れのコントロールができれば、たいていのことはうまくいくのである。

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術
保坂 隆 (著)
大和書房 (2011/6/10)
P189

50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

  • 作者: 保坂隆
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2019/02/22
  • メディア: Kindle版


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント