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「ガイドライン」は何者かの都合で作られる [医療]

 高血圧学会は「高血圧治療ガイドライン」という冊子を出し、日本中の医者はそこに記された基準値によって、患者が高血圧かを判断する。ほとんどの医者がそれに従うのだから、ガイドラインは非常に多くの影響力があるといえる。
ガイドラインはおよそ5年で改定され、そのたびに基準値は下がってゆく。
 実際に目を通すとわかるが、冊子は非常に読みずらい。あいまいで細かい区分、ちりばめられた難解な専門用語、おそろしく回りくどい説明・・・・。読んでいると、苦痛を感じる。こうして煙幕を張りながら、彼らは抜け目なく基準値を下げるのだ。


 


P31
 ここに興味深い新聞記事がある(2008年3月30日付読売新聞朝刊「指針(住人注;ガイドラインのこと)作成医9割へ寄付金 製薬企業から」)。
 新聞社は、全国50の国立大学に、2002年から2006年までの5年間で、医学部の学者の受け取った寄付金の額や提供者を公開するよう求めた。
 その結果、高血圧や高コレステロールなどのガイドラインを作った276人中87%にあたる、240人に製薬会社から寄付金が渡っていることがわかった。
2004年の高血圧ガイドラインの場合、委員の9人全員に、合計約8億2000万円もの寄付金が渡っていた。
~中略~
「「外部から研究費を多くとるほどよい教授」という見方が強く、寄付の多さで評価されるようになった」
 これは、とってもまともな状況とは思えない。寄付金の多さ=評価なら、大学や学会が製薬会社との癒着を推し進め、自ら御用学者を生み出しているということだ。


P40
 アメリカにも日本と同様、高血圧のガイドラインを決める委員会がある。そこの研究者たちは、製薬会社から講演料、助成金,株などを受け取り、議論をゆがめるため、医療ジャーナリストから「高血圧マフィア」と呼ばれている。
~中略~
 2003年に、基準値が140から120に下がられた時、アメリカの高血圧患者は5000万人増えたという。日本では20下げると、患者は2000万人増えるから、人口比から言って、当然そうなるだろう。
 以前、アメリカで、3歳以上の子供に血圧検査をすべきという意見が、研究者によって発表されたことがある。高血圧が中高年に特有なのは、いうまでもない。基準値はそうは下げられないため、年齢層を下げるという新手を考え出したのだろう。


高血圧はほっとくのが一番
松本 光正 (著)
講談社 (2014/4/22)



高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

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  • 作者: 松本 光正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/22
  • メディア: 新書






高塚地蔵尊 (8).JPG高塚地蔵尊


2007年に厚生労働省から「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン(5)が出された(2018年3月改訂)。 このガイドラインは意思決定のプロセス、とりわけ患者の意思の把握に重きを置いたののとなっている。ただ、自己決定を重視するのはもっともだとしても、生命維持治療の差し替えや中止の判断は歩との声明に直結する問題であること、人間の意思は変化しやすいこと、様々なバイアスの影響を受けやすいこと、そして「自殺幇助(ほうじょ)」を犯罪としていることとの整合性などを含め、生命維持治療の是非を患者の自己決定のみに委ねて丸投げするわけにもいかない。 患者の意向を最終確認する前に、医学的な妥当性の検討が「差し控え」・「中止」を正当化するうえで必要になる。 治療の中止等について当ガイドラインでは、「医療・ケアチーム」によって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである」としている。 この文面から、医師一人が独断で判断せずチームで判断すべきであることは理解できるものの、中止等を許容するための具体的な要件は示されていないため、実際問題として、誰と誰によって、何を、どのように「慎重に判断」すればいいのかわからないという声も少なくない。


医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者
大竹 文雄 (著), 平井 啓 (著)
東洋経済新報社 (2018/7/27)
P215




医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者

医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者

  • 作者: 大竹 文雄
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/07/27
  • メディア: 単行本



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