みんな成功者の子孫である [雑学]
生きとし生けるものすべて―あらゆる動物や植物、すべての細菌とすべての菌類、地上を這いまわるありとあらゆる生きもの、そして本書を読むすべての読者―は、祖先たちを振り返って、誇らしげにこう主張できるのである。
われわれの祖先に幼くして死んだものはまったくない。
彼らはみな成熟し、そのどれもが少なくとも一回は異性の相手をみつけ、交尾に成功したのだ。われわれの祖先は残らず、少なくとも一人の子どもを世に送り出す前に、敵やウイルスに倒されたり、断崖で足を踏み外したりすることがなかった。
同時代に生きていたほかの多数の個体がこうした点で失敗したのに、われわれの祖先はただの一人もそのどれにもつまずくことがなかった、と。
~中略~
すべての生物がすべての遺伝子を、祖先と同世代で失敗した者からではなく、子孫を残した祖先から受けついでいる以上、あらゆる生物は成功する遺伝子をもつ傾向がある。
彼等は祖先になるのに必要なもの、つまり生き残って繁殖するのに必要なものをもっていることになる。
だからこそ、生物が受け継ぐ遺伝子はおおむね、うまく設計された機械―まるで祖先になるために奮闘努力しているかのごとく働く身体―をつくりあげる性質をもっている。
だからこそ、鳥はあれほど上手に飛び、魚はいかにもすいすいと泳ぎ、猿は木のぼりがとても得意で、ウイルスは広がるのがうまいのだ。われわれが人生を愛し、セックスを好み、子供を可愛がるのも、それゆえである。
遺伝子の川
リチャード ドーキンス (著), 垂水 雄二 (翻訳)
草思社 (2014/4/2)
P9
島根県松江市熊野大社
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