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ほめられ世代 [社会]

 オーストラリアに滞在していたときのことです。
 あるラジオ番組で、会社経営者たちが大卒の新入社員についての不満を語っているのを耳にしました。
 高等教育を受けた頭のいい20代前半の新入社員たちは、絶え間なくおだてたりほめたりしなくてはならず、批判めいたことを口にしようものならたちまち不機嫌になり、仕事を辞めてしまう者さえいるというのです。
 アメリカをはじめ、他の先進国においても、管理職は同じ問題に直面しています。スパルタ式の教育を受けた世代の人間にとっては、この甘やかされた傷つきやすい新入社員はじつに頭の痛い存在です。
 キャロル・ドゥエックはこうした新人たちを「ほめられ世代」と呼んでいます。
 彼らは心優しい親と教師に囲まれて育ちました。親や教師たちは子供たちの自尊心を育て、自身をもたせたいという願いから、絶え間なく無条件のほめ言葉を与えてきました。
そして、子どもたちの脆いプライドを傷つけるかもしれないからと、批判めいた言葉は口にしないようにしてきました。
 しかし結果は裏目に出てしまいました。高い自己信頼感をもった大人になるどころか、彼らは自信のない甘やかされた人間になってしまったのです。
「いま、私たちの職場には、つねに安心させることが必要で、批判を受けつけない人間があふれている。
挑戦し、粘り強さを発揮し、間違いを認めてそれを正していくことが求められるビジネスの世界で、そんな人間が成功するとは思えない」

ハーバードの人生を変える授業
タル・ベン・シャハー(著), 成瀬 まゆみ (翻訳)
大和書房 (2015/1/10)
P182


DSC_2627 (Small).JPG一畑寺(一畑薬師)

P185
「人間にとってこれほどひどい呪いはないのではないかと私は考える。それは、努力なしにすべての願いが完全にかなえられ、希望や欲望、そして葛藤さえ残らないことである」
作家 サミュエル・スマイルズ




 最近の若い世代の様子を見ていると、子ども時代にきちんと叱られなまま大人になってしまった人が多いのではないかと感じるのです。というのも、自分がミスした時や間違いを指摘された時に、きちんと謝ることができない若者が増えているからです。
 本人も謝らなければならないとわかってはいるようですが、「すみませんでした」の一言がなかなか出てきません。素直に謝ることができないのは、大人から真剣に叱られたことがないまま育ったからではないでしょうか。
 一概には言えませんが、最近の学校や幼稚園、保育園などでは、以前のように先生が厳しく生徒や児童を指導することが少なくなったと聞きます。
叱るのは目にあまる問題行動を起こした時くらいで、大問題にならなければ良しとする、事なかれ主義が増えてきているように思えてなりません。
 そうは言っても、子どもの人格形成において、一番の責任が家庭にあることは言うまでもないでしょう。成らぬことは成らぬ。そう言わなければならない場面では、毅然とした態度をとりましょう。
「子どもがかわいそう」「嫌われたくない」と言いなりになってしまうと、子どもは自分の行いを顧みる機会を逃したまま成長してしまいます。
 上手に叱るためには、普段から家庭の雰囲気を明るくし、親子関係を円滑にしておく必要があります。そのためには、一緒に食卓を囲むことが一番の近道でしょう。

怒らない 禅の作法

枡野 俊明 (著)
河出書房新社 (2016/4/6)
P147






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