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非認知能力が所得にプラスの影響を与える [雑学]

 学校教育の段階で恵まれない子どもたちへ援助をしたところで、就学以前の段階でに家庭環境が悪いとあまり効果がないことも明らかにされている。
アメリカの研究によれば、親の所得階級による子どもの数学の学力差は、六歳時点においてすでに存在し、その学力格差はその後も拡大を続ける。ただ、就学以前の段階できちんと教育を受けていた場合には、学校教育における援助は大きな効果があるという。
つまり、家庭環境に恵まれなかった子どもたちに、学校教育以降でのみ援助しても効果がなく、就学前の段階での援助と組み合わせることが重要だというのだ。

競争と公平感―市場経済の本当のメリット
大竹 文雄 (著)
中央公論新社 (2010/3/1)
P94

P96
 やる気や協調性、リーダーシップといった非認知能力が、社会で成功する上で重要な要因であることは、一般にはよく知られている。
しかし、こうした能力の効果が経済学で分析されるようになったのは最近のことである。
最近の実証研究では、高校時代のリーダーシップの有無が将来の所得に影響を与えることや忍耐強さや協調性といった非認知能力が所得にプラスの影響を与えることが確認されている1。

P103
利己主義か平等主義かという価値観は、教育や家庭環境によって形成されていくことがこの実験で明らかにされているのだ。
私たちが平等主義的な価値観をもっているとすれば、それは家庭や学校での教育の結果であって、人間が生まれながらにもっている価値観ではないのである。社会全体が平等主義的な価値観をもっているなかで、自分だけが利己的な価値観を持って行動すると、社会的には成功することはできないだろう。
時間割引率で示される忍耐強さというのも、社会で成功する上で重要だった。あるいは、リーダーシップの有無というのも社会的成功の重要な要素である。
今までは、経済格差を解消するためには、学校教育における知的能力訓練が有効だと考えられてきた。しかし、ここで紹介したような非認知能力の発達が経済格差に大きな影響を与えるのであれば、そこに配慮した就学前からの教育が重要だということになるだろう。


タグ:大竹 文雄
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