SSブログ

老化します?がん化します? [医学]

 我々の体の普通の細胞にはテロメラーゼ活性がありません。ですから、染色体の端っこであるテロメアは、細胞が分裂するたびに短くなっていきます。そして、分裂回数が進んでテロメアがある程度以上短くなると、もう分裂できなくなります。
これがヘイフリック限界です。ですから、この「テロメア短縮」も、細胞レベルでの老化原因の一つなのです。
 しかし、幹細胞という一群の細胞にはテロメラーゼ活性があります。再生医療の発展とともに、マスコミなどでよく目にする用語になってきました。
これも広辞苑をひくと「生体を構成する細胞の生理的な増殖・分化などの過程において、自己増殖能と、分化する能力とをあわせ有する細胞。血球・粘膜上皮・表皮などで細胞が枯渇しないのは幹細胞の存在による。」とある。
~中略~
このように、一般的に幹細胞はテロメアーゼ活性を持っています。
 では、活性のない細胞でのテロメアーゼを活性化すれば、老化を防げてすばらしいことかというと、そんなに単純な話ではありません。それは、無限に増える細胞、がん細胞を考えてみるとわかります。
がん細胞とて、テロメア短縮が生じては、どんどん増えることはできません。
第3章で詳しくお話ししますが、がん細胞ではテロメアーゼの活性化が生じて、それが無限の増殖に必須です。すなわち、テロメアーゼの活性化は発がんのひとつの要因なのです。

こわいもの知らずの病理学講義
仲野徹 (著)
晶文社 (2017/9/19)
P092

 

P1000216.JPG宮島


タグ:仲野徹
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント