ぜんまい [雑学]
ゼンマイというのは、面倒なものだ。
高知県の山村の穴内(あなない)川流域あたりでは、ゼンマイを採ると、庭一面にひろげられた荒むしろの上で、両手につかんで揉みに揉んであく出しをする。揉んでは干し揉んでは干しして、何日もかかってやっと商品にするのだが、この作業のために荒むしろ一面が濃い茶色にべっとり染まってしまうほどにあくが出る。
あく出しの方法は地方によってちがうらしく、新潟県中蒲原郡村松町上杉川あたりでは、貝沼さんによると、一日かかって茹でてから翌日に干し、三日ほど干しつづける。
街道をゆく〈9〉信州佐久平みち
司馬 遼太郎 (著)
朝日新聞社 (1979/02)
P94
タグ:司馬 遼太郎
2020-02-17 00:00
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