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国家 [国際社会]

わたしたちは口を開けば民主主義の本義に基づいてなど民主主義をふりかざすが、民主主義そのものなど、どこの世界にもありゃしない。
存在するのは歴史的に強く条件づけられた各種の民主主義国家だけである。
~中略~
国家という基盤ないしはわく組みの中でしかわたしたちはなにも思考できないし、なんの行動もとりえない。

会田 雄次 (著)
日本人の意識構造―風土・歴史・社会 (講談社現代新書 293)
講談社 (1972/01)
P210

 

-7d05f.jpg関門橋


P87
現代の主権国家では二つの側面が求められる。国内的には治安維持能力であり、対外的には条約遵守能力である。
~中略~
 国家警察も国軍も、指揮する主体は国王である。絶対権力を志向する国王が実力を独占することにより、警察力を行使し、軍隊の力により排他的な国家主権を維持する。ここに連邦主権国家が成立したのである。
国王が暴力を独占することによって、国家としてのまとまりが保たれるようになるのである。
~中略~
 国内法は強制法である。すべての特権階級を法に従わせるために必要な権力が、絶対王権に基づく警察力である。警察力により、国王の名の下に裁判を行なうことができる。いかなる者にも例外を認めず強制することで、国王による法が徹底される。こうして国王の主権が実体化していくのである。
 では外国との諍(いさか)いはどのように解決するのか。すべての国が従う裁判所が存在しない世界では、決闘により決着をつける。
中世においては、しばしば「勝利は正義の発露である」との価値観で、決闘裁判が行われた。決闘とは、貴族にのみ認められた神聖な儀式である。
ウェストファリア体制は領邦主権国家にこの資格を認めた。すなわち、戦争である。 厳密な意味の戦争とは、宣戦布告で始まり講和条約で終了する法的状態のことである。これは双方の合意により開始され終結する。誰にも強制されない、合意法である。

P110
 国際社会において何者の支配にも服さない主権国家であると証明する資格は、究極的には軍事力である。軍事力は外交力の源である。そして、軍事力の源は経済力である。
 言わば、鉄と金と紙である。この三つ の総合力が国力であり、国として自立できる力のある者だけが国際社会で生きていける。これが国際法の適用される国際社会である。逆に、力のない者に文明の法は適応されないとするのが、ヨーロッパ人の決めた文明であった。
 要するに、因縁をつけて、札束にモノを言わせ、最後に暴力で従わせる。綺麗に着飾っているが、結局は力によって世界を侵略し、「文明」をおしつけたのがヨーロッパ人である。そしていまも世界はその影響下にある。

日本人だけが知らない「本当の世界史」
倉山 満 (著)
PHP研究所 (2016/4/3)

 

日本人だけが知らない「本当の世界史」 なぜ歴史問題は解決しないのか (PHP文庫)

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  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/04/03
  • メディア: 文庫

 佐藤 国際法上の国家として承認されるための要件は、第一に、当該領域の実効支配が確立していること、第二に、国際法を守る意志があることです。
 シリアの場合などは、自国民に毒ガスをまくなどして国際法を守る意志もなく、当該領域の統治もできていませんから、従来の国際法の解釈からすれば、すでに「国家」ではないのです。その意味で、「国家ではない国家」がたくさん出現しているのが、今の世界の特徴です。

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方
池上 彰(著), 佐藤 優(著)
文藝春秋 (2014/11/20)
P76


 

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)

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  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/20
  • メディア: 単行本

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