釈尊の教え [宗教]
釈尊の教えの中核になるのは縁起という考え方である。
それは次の三項目にまとめられている。
◎因・・・種があって草が生えるように、それが生じた直接の原因をいう。
◎縁・・・すべては、いろいろな関係(状況・条件)によって生じる。
◎果・・・因と縁によって生じた結果。その結果がまた、因となり縁となっていく。この果を受けることを「報(果報)」という。
この縁起を基本に、声聞は四諦、縁覚は十二因縁、菩薩は六波羅蜜によって仏道を修めるものと法華経は語っている。
四諦八正道
「諦」は「あきらめる」ではなく「あきらかにする」という意味。
◎苦諦・・・人生は苦である。いたずらに苦から逃れようと考えてはならない。
◎集諦・・・苦はさまざまな原因が集ったところに生じる。その原因を見きわめなければならない。
◎滅諦・・・苦しみの原因を知り、それを取り除けば、苦は滅びる。
◎道諦・・・苦を滅ぼすためには、正しく修行しなければならない。それには、次の八正道がある。
①正見・・・偏見にとらわれず正しく見ること。
②正思・・・考え方を正しくすること。
③正語・・・正しく語ること。
④正業・・・行いを正すこと。
⑤正命・・・正しく生活すること。
⑥正精進・・・正しく努力すること。
⑦正念・・・正しく思念すること。
⑧正定・・・「定」は禅定と同じ。心を統一すること。
>>>十二因縁
>>>六波羅蜜
三法印と空
縁起の思想もまた、「三法印」と呼ばれる三項目にまとめられている。
◎諸行無常・・・「諸行」はあらゆる現象のこと。それは常に変化している。
◎諸法無我・・・「諸法」はあらゆる事物。自我を含めて、すべてはあらゆるものとの関係において存在している。
◎涅槃寂静・・・「涅槃」も「寂静」も悟りの平安な境地を言う。「諸行無常」「諸法無我」を見つめることによって平安に達せられる。
諸法は無我であって固定的な実体を持たない。この事を「空」という。
空の場においては、すべての事物・現象は因・縁・果の連鎖になり、すべてが関連しあって変化してゆく。この空を「虚空」ともいう。
大角 修 (翻訳)
図説 法華経大全―「妙法蓮華経全二十八品」現代語訳総解説
学習研究社 (2001/03)
P56
図説 法華経大全―「妙法蓮華経全二十八品」現代語訳総解説 (エソテリカ・セレクション)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2001/03
- メディア: 単行本
仏教はこれらの苦しみを回避する道を教えているのではない、と私は思います。
むしろ、これらの生・老・病・死などの苦しみを避けようとするのでなく、これらの苦しみ悲しみをそのまま受け入れる覚悟を持ち、前向きに生きる生き方を教えていると思うのです。
角田 泰隆 (著)
禅のすすめ―道元のことば
日本放送出版協会 (2003/03)
P187
禅のすすめ 価格:1,019円(税込、送料別) |
キリストは、三十代で亡くなりました。若くして死んだキリストの宗教観は、いわば青春の熱情が横溢(おういつ)しています。キリスト教は、青春の宗教と言っていいかもしれません。
西洋の文化に、一種の青春主義の匂いがまとわりつくのは、このキリストの青春期の死と、おおいに関係があると、私は考えています。
それに対し、ブッダは長生きをしました。旅先で八十歳で亡くなりました。三十代の宗教家と、八十代の宗教家では、神の概念や人間観が違って当然です。
すでに日本という国は、戦後の青春期、繁栄期を終え、下山の道を歩みはじめました、これまでの青春主義では、下山の道のりは通用しません。しかも高齢化社会を迎え、国民も下山の道を歩みはじめています。
いま私が、ブッダの思想の可能性に思いをめぐらすのも、そのためです。
百歳人生を生きるヒント
五木 寛之 (著)
日本経済新聞出版社 (2017/12/21)
P37
コメント 0