拍子をあわせる [ものの見方、考え方]
「どんなことにでも拍子(リズム、はずみ)はつきものだが、特に兵法の拍子は鍛錬によってでなければ身につかないものである。
~中略~
また、目に見えないことにもやはり拍子がある。武士なら、昇進落魄(らくはく)の拍子、思うままになる拍子、ならぬ拍子があり、商人なら、富み栄えてゆく拍子があるかと思えば、それが停滞する拍子もある。
どんな道にも拍子のちがうことがあるのだから、強くなる拍子と弱くなる拍子とをよくよく見分けのつくようにならなければいけない。
~中略~
戦闘のときには、敵の拍子を知り、そのうえで敵の思いもよらない拍子をとって当たってゆき、智略の拍子から無形の拍子を生んで勝ち進んでゆくのだ。(略)」
(兵法の拍子のこと)
奈良本 辰也 (著)
宮本武蔵 五輪書入門
学習研究社 (2002/11)
P94
- 作者: 奈良本 辰也
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2002/11/18
- メディア: 文庫
P239
「舞の場合、名人がうたう謡について下手な物がうたうと、どうしても遅れてしまうのではないかというような気がしてかえって速くなる。
”老松”という曲は本来静かな曲であるが、その鼓を打つ者が下手であると、これにも遅れているような気がするものである。
~中略~
”急がば転ぶ”と言うことばのあるのでもわかるように、すべて速くしようとすればかえって遅れるものである。もちろん遅いのもわるい。
すべて達人名人のやることは、ちょっと見るとゆるゆるしているように思えるけれども、物事の拍子にぴたりと合っているものだ」
(他の兵法にはやきことを用いること)
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季の循環、月の盈虚、時の終始は一定のリズムをなしてある時は発揚しある時は沈衰し、ある時は睡りある時は覚めて居るのである。
いやしくもリズムというものの存在を認めなければ已む、然らざる以上は人の身心も律調運動(リズミツクムーブメント)を為すことを認めなければならぬ。
進潮退塩
(明治四十五年七月)
努力論
幸田 露伴 (著)
岩波書店; 改版 (2001/7/16)
P238
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