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社会的発達の四段階 [雑学]

  親子関係や周囲の人たちとの関係の中で、赤ちゃんがどんなふうに知性を発達させていくのかを、こんどはみていくことのしよう。ここでいう知性とは、道具を操る知性ではなくて、社会的な知性、対人関係にかかわるような知性のことだ。
  私は社会的知性の発達に四段階あると考えている
~中略~  

 ①生まれながらにして、親子のあいだでやりとりするようにできている。
 ②一歳半頃になると同じ行動をするようになり、行動が同期する。
 ③行動が同期するなかで、逸脱した行動、自分のしたことのない行動があると、だいたい三歳ぐらいから真似る。(略)
 ④摸倣を基盤として、相手の心を理解できるようになる。そこではじめて、「手を差し伸べる」という利他的な行動が現れる。あるいは相手の出方がわかるので、「あざむく」というような行動も出来るようになる。

想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P757

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P72
 要はこの摸倣の段階で、こどもというのは、親を含めた他者の行為をなんとかコピーしようとする。
自分がやっていない新しいことを誰かがしたのを見て、なんとか同じことをしようとする。
その結果として、今までにはない行動のレパートリーが取り込まれる。それが摸倣の効能だ。

P76
 ボッソウのチンパンジーをずっと観察しているうちに、思いがけない面白い発見があった。
 ある日、野外実験場にお母さんチンパンジーがやって来た。けれども、アブラヤシの種を割る石がない。適当な石はみんな、他のチンパンジが使っている。
しょうがないから、そのお母さんは、石で種割りをしている九歳の息子の毛づくろいを始めた。
 しばらくすると、お母さんは毛づくろいをやめて四足ですくっとたった。これは「毛づくろいのお返しをしてください」という意味だ。
そこで息子は、種割りの石を置いて、お母さんの毛づくろいを始めた。
そうしたら、なんと、そのすきにお母さんは息子の石を取っちゃった。だました、としか見えない。
 このエピソードは、「あざむき」とおいうものが、人間以外の動物でも確かにあるということのいちばん強い、すごく明確な証拠だと思う。


タグ:松沢 哲郎
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