色彩基本語 [言葉]
色彩基本語とは、他の語からの転用などではなく、もともと色を表す語で、なおかつ複合語ではないような色名のことをいう。
日本語で言えば、「アカ」ということばは赤の色にしか使わない、「アオ」も青の色にしか使わない。つまり色彩基本語と認められる。
~中略~
そうしてみると、先に結論したように、日本語は文化人類学的にいえば、色彩基本語を四つもている言語だ、ということができる。
~中略~
色彩基本語が三つしかない民族もあるという。その場合は必ず<白><黒><赤>である。
色彩基本語を四語もっている民族は、<白><黒><赤>に加えて、<緑>か<黄>が出てくる。この<緑>は青と緑を合わせたものだ。色彩基本語が五語の場合はその五色名がそろい、色彩基本語を六語もつようになってはじめて、<緑>と<青>が別の色名になる。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P157
P153
色彩基本語の焦点といって、たとえば最も緑らしい緑はどの色かと聞く。そうすると、日本語の緑に対応する焦点は、ドイツ語のグリューンとは多生ずれる。フランス語のヴェールともちょっと違う。
世界中の二〇の言語で、緑なら緑に相当する色の焦点というものを、その言語と母語にする人に聞いて集めてくると、ばらつく。
しかし、多少ばらつきはするものの、あるまとまり(クラスター)をつくっている。緑と言おうが、グリーンと言おうが、グリューンと言おうが、ヴェールと言おうが、だいたい似たところにある。
こうした色カテゴリーがあることを、ブレント・バーリンとポール・ケイという文化人類学者が見つけた。
P154
人間の言語の色彩基本語の焦点は、必ずチンパンジーが安定して命名できる領域にある。
バーリンとケイは色彩基本語について言語の普遍性というものを見出したわけだけれど、それは、人間のなかで閉じられたものではなくて、チンパンジーにも拡張され、チンパンジーにも色彩基本語の普遍性というものが認められているのだ。
つまり、色を認識しているというレベルにおいて、言語的な反応を使って人間と同じように調べてみたら、チンパンジーが見ている色の世界は人間のそれと同じだと言える。
その塔婆を本尊の手に結んだ五色のひもに結びつける。
この青・黄・赤・白・黒の色は密教の中で頻繁に用いられる色で、やはりそこにも象徴的な意味がある。
青色は多くの色の要素をもっているとされるので他の色よりすぐれていると考えられ、黄色は他の色を混ぜると光が強くなりながら、自分の色を失わないとされる。
そして赤色には燃え上がる強い力を込め、白色には、その潔白で清浄な性質から一切の根源を見出し、黒色には、他を消し隠すことから調伏する力のシンボルが表現されている。
ボクは坊さん。
白川密成 (著)
ミシマ社 (2010/1/28)
P123
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