書店 [社会]
やはり書店というのは、一国の文化の最前線の兵站基地みたいなものだから、そこでの物流(情報流)を見ていると、一国の文化、社会の全体像がよく見えてくる。
いってみれば、書店の店頭というのは、一国の文化、社会の現状を伝える最高のメディアなのである。
ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術
立花 隆 (著)
文藝春秋 (2001/4/16)
P13
P15
いま(住人注;2001年)日本では、年間六万五千点の新刊本が発行されている。一日あたり、百八十点にもなるから、とても書店の店頭にならびきれない(十日で千八百点 、百日で一万八千点である)。
書店の新刊本コーナーで平積みにしてもらえるのはちょっと大きめの書店でも、五、六十点程度である(文庫、新刊は別)。
~中略~
いまの新刊本の発行点数は、書店のキャパシティ(ちょっと大きめの本屋で二万七、8千点程度しかならべられない。その多くが新刊本でなくて重版本などの常備本)をはる かにこえているから、本は次々に回転していかざるをえない。(新刊本が取り次ぎから書店に配本され返本されるまでの、平均店頭滞在期間はわずか五、六十日程度)。
新刊本の世界は、「よどみに浮かぶうたかた」のごとく次々に生まれては消えてゆく世界なのである。
その多くは、書店の店頭で、人目にふれるチャンスすらほとんどないうち に、(キャパシティの大きさ故に、あるいは店頭滞留時間の短さ故に)消えていってしまうのである。
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