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当今乏しきものは人物 [日本(人)]

(住人注;文久二年、城中で松平慶永と老中水野忠精に、海軍はどうすれば盛んになるか質問され)
当今乏敷(とぼしき)ものは人物なり、皇国の人民卑賎をいわず、有志を選抜するにあらざれば、極めて其人得難からん、唯幕府の士のみを以てこれに応ぜしめんと欲せば、盛大得べからず
~中略~
(住人注;翌日の御前会議で)「今如此(かくのごとき)の大業を議せんよりは、寧ろ学術の進歩して、其の人物の出でんことこそ肝要ならめ」というわけである。
そうして、この勝の意見は、(住人注;横井)小楠 のかねてから唱えているところとまったく同じである。

勝海舟 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)
松浦 玲 (著)
中央公論新社 (1968/04)
P91

DSC_6315 (Small).JPG 緒方宮迫東石仏

 日本人は、長期安定の時代をむかえると、過去にとらわれ、行動が形式化する習性をもっている。
しかし、いったん、大きな激動がはじまれば、たちまち、柔軟性を発揮して、これが同じ人々かと思えるほどに、短期間に変わる。戦国末期がそうであったし、幕末維新期も、戦後の数年間もそうであった。

殿様の通信簿
磯田 道史 (著)
朝日新聞社 (2006/06)
P251

 世の中が非常に乱れてくると、型にはまった人間では役に立たない。常識的な平凡な者ではどうにも話にならぬ。
どうしても型破りな、自由な革新的な人間が出て―これを豪傑というのでありますが―時代の要請即ち天命に応じて、過去の沈滞を破って新しい時代を創造する。この豪傑の時代がある。
 そういう人物が現われて新しい時代を創造するのであるが、これが成功して革命から建設が一通り出来上がると、やがて「継体守文」の時代となる(一〇二頁参照)。
出来上がった組織・制度・文化を保守する時代ががくる。こういう時代には、真面目で忠実な、間違いのない良識的な人が役にたつ。あんまり型破りの活きのいい者では納まらない。かえって害になる。
 そういう保守的な時代が続くと、やがてまた沈滞してくる。今日いうマンネリズムとかコンヴェンショナリズムの世の中になる。~中略~
 この衰頽の時期がくると、やがて混乱の時代になる。

知命と立命―人間学講話
安岡 正篤 (著)
プレジデント社 (1991/05))
P20


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