山伏文化 [雑学]
近年の松会は、徐々に古様の形態が薄れつつある。惜しまれてならない。
そうした中で、桧原山正平寺の松会は、田行事に興味をおぼえる。
数年間連続してみているが、一定の形態を崩すことなく、守りつがれ行われているのである。戸様の形態を知ろうとするならば、この桧原山の田行事をみるとよい。
明治の改変後の松会、田行事などをみて、種々記されているが、これはあまり意味がないであろう。本来の松会にもつ、神仏習合という仏事的作法が、前にも述べたが一蹴され、松会という山伏による祭りの面影はぬぐいさられ、新しく創作されたものが混じっているからである。
桧原山は幸いにして、まだ祭りは神仏習合の中で行われており、山麓の人々の善意の行事が他山のように子供たちの手に変わることなく、自ら大人たちの手によって行事が進められており、これは宰領し、山を守る桧原氏の人柄でもあろう。
この桧原山の祭りが古様の形態をもつのは、お田植の田行事の所作に傀儡(くぐつ)芸能がみいだされるからである。
山伏まんだら―求菩提山(くぼてさん)修験遺跡にみる
重松 敏美(著)
日本放送出版協会; 〔カラー版〕版 (1986/11)
P104
山伏まんだら―求菩提山(くぼてさん)修験遺跡にみる (NHKブックス)
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2021/11/16
- メディア: 単行本
P106
当然、豊前の山岳寺院の祭りにも傀儡の参加があってもよい。そこで山の文化とは、僧侶、そして山伏、また山人たち、その中に傀儡の人たちの文化もあり、多岐にわたっていることが分かる。
これを山伏という人たちによって合一的な文化に育て形成したものが、いわゆる山伏文化であるといえよう。
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