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土民 [言葉]

重要な問題である「百姓」についてお話しする前に、もう一つ挙げておかなければならない言葉が「土民」です。
今や完全に差別語とされて、一般的には使われていませんが、「土民」も実は「平民」「百姓」とほとんど同義の言葉として、かまくら幕府の法律などに用いられているのです。たとえば「土民の習」という表現がありますが、これはその土地の普通の人々の習慣を意味しています。
~中略~
 今でもみやげを「土産」と書くことからもわかるように、「土」には「その国の」「その土地の」といった意味が込められています。ですから、その国の特産物が土産になるわけです。
「土風」は「くにぶり」といわれており、この「土」も同様です。先ほどの「平民名」は「土名」と書かれることもありましたが、それもまったく同じ理由だと思われます。
~中略~
 明治以後、北海道のアイヌのことを「旧土人」と呼んでいましたが、これも本来は決して侮辱的表現ではありませんでした。本州から北海道に渡った人を指す「新土人」という言葉に対して、元からいる人をそう呼んだのです。、

歴史を考えるヒント
網野 善彦(著)
新潮社 (2001/01)
P64

DSC_4565 (Small).JPG求菩提山


タグ:網野 善彦
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