時間が経過するのを我慢できるかどうか [医療]
P168
まず、お二人とも、「保留」あるいは「中途半端さに耐える」といったことを重要な能力として強調されています。医療界ではこれまで、何もしない、あるいは保留する、ということは、一種の「敗北」とされてきました。
内田(住人注:内田 樹) めずらしいですよね、春日先生みたいに「待つ」あるいは「とりあえず棚上げしておく」といったことを書かれるお医者さんって。
春日 臨床では「判断に困る」状況がたくさんあります。そういうときにいちいち正論をぶつけられたりすると、議論の途中でめんどくさくなっちゃうんですよね。
~中略~
春日 その通りです。数日したら「なんかわかんないけどよくなっっちゃった」とか「全然関係ない理由で亡くなっちゃった」とか、議論の余地がなくなってしまうこともありますからね。
P171
春日 僕は、「中途半端なところで時間が経過するのを我慢できるかどうか」っていうのが、援助者の実力のひとつだと思っています。
「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室
春日 武彦 (著)
医学書院 (2007/07))
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- 出版社/メーカー: 医学書院
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