日本が乗っ取られるかも [日本(人)]
2050年の日本の姿を描く国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」(2014年)を丹念に読んでみると、寒気すら覚える。
~中略~
人の目が届きにくくなる場所が増えれば、治安だけでなく、国防の危機にも直結する。
端的な例が離島だ。 ~中略~
言うまでもなく、国境離島や外洋離島は排他的経済水域の重要な根拠となる。エネルギーや鉱物資源確保、漁業や海上輸送の自由と安全な航行など、海洋秩序を守るための大きな国家的役割を担っているのだ。
だが、そうした期待に応えられるのも、そこに住民が住んでいるからである。より多くの人が住み、主権が明確なほうがよいということだ。
~中略~ 無人島が増えれば、それだけ自衛隊や海上保安庁が目を光らせなければならないエリアも増え、その分、日本の防衛力自体が低下する。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
河合 雅司 (著)
講談社 (2017/6/14)
P138
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: Kindle版
P142
政府内に、外国人労働者の大量受け入れや永住権付与の緩和を推し進めようとの動きが強まっているが、日本人が激減する状況においていたずらに外国人を受け入れたならば、日本人のほうが少数派となる市町村や地域も誕生するだろう。
「反日」の国が悪意を持って、自国民を大規模に日本に送り出す事態も想定しておかなければならない。いまだに外国人参政権の付与を主張する政治家もいるが、これを安易に認めれば、議会や地方行政を外国人に牛耳られかねないということである。
かつて、対馬市議会や長崎県壱岐市議会、沖縄県与那国町議会といった国境の島の自治体が参政権付与について反対の意見書を可決したことがあったが、リアルな危機として感じたからであろう。人口減少社会において、外国人に参政権を認めることは、国防上の致命傷となりかねない危険性をはらんでいるのだ。
P143
たとえば、自衛隊の場合、2016年の自衛官数は23万人弱であるが、少子化が進むとこの規模を維持することすら難しくなる。
若い自衛官がすでに減少し、全体の年齢構成が高齢化していることに、防衛省は危機感を募らせている。 ~中略~
たしかに、(住人注;東日本大震災)当時の日本は非常事態の中にあり、半数近い自衛隊員を投入したのはやむを得ない判断ではあった。が、結果として国防はギリギリの態勢を迫られることになった。
国際社会の現実であるが、こういう非常時の日本をまるで試すがごとく、周辺国からは戦闘機が飛来し、日本列島を一周したことを覚えている人は少なくないだろう。
P151
当然ながら、排外主義になってはならない。高度の知識や技能を有する人材と交流することで新たな発想が生まれ、技術も進歩することだろう。だが、日本の生産年齢人口は2015年から2040年までの25年間で、1750万人近く減ると推計される。そのすべてを外国人で穴埋めするというのは無理だろう。
「外国人の受け入れ=開かれた国」といった理想論を語るだけでは済まされない現実があることも忘れてはならない。
たとえば、多くの国民が不安を感じる治安の悪化だ。大規模に受け入れたヨーロッパ諸国ではテロや暴動、排斥運動が起こるなど混乱を来している。
~中略~
他方、伝統や文化の変質も避けられない。天皇への敬意や地域に伝わる祭り・伝統行事の継承への不安を口にする人は少なくない。これまでも、ゴミ出しルールを守らないとか、騒音といった地域のトラブルが問題となってきたが、毎年多くの外国人がやってきた場合、こうした問題の深刻さは想像以上だろう。
P154
人口減少で移民を大規模に受け入れる政策は、人口規模を維持することと引き替えに、日本人が少数派になることを許すものだと認識すべきである。「国のかたち」は変容し、我々が認識する日本とは全く違う「別の国家」となるだろう。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: Kindle版
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