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資源ナショナリズム [社会]

 経済成長を願うなら、われわれが今豊かに享受している国民資源を「パブリックドメイン」に保全することを止めて、すべて商品化して、市場に投じればいい。それが最も効果的なんです。
自然資源も、水も、農林水産業も、医療も、教育も、全部市場に委ねる。そうすれば間違いなく超少子化・高齢化社会でも経済成長は可能です。森林や水源が私有地になり、TPPで自営農が壊滅して、アメリカ型の大規模モノカルチャーになり、医療も教育も全部が商品化して値札がつき、自治体もアメリカのサンデイ・スプリングス市のように富裕層向けに再編されるようになれば、日本だってぐいぐい経済成長します。
 日本は成熟社会・定常社会に向けて自然過程を歩んでいます。
これを無理強いして経済成長させようとすることは、われわれが公共的に所有し、次世代に無傷で伝えなければならない国民資源に手を付けることなしには果たせません。未来の日本国民たちが、僕たちが今無償で享受しているものをお金を出して買わなければならない状態にすることでしか成長できません。
~中略~
今の日本の指導層はもう国益のためには働いていません。未来の日本人のことなんかもちろん考えていない。考えていたら、原発の再稼働なんて思いつくはずがない。国益よりも自分たちの個人的な利益や個人的な欲望充足を優先している人たちが国の方針決定している。

最終講義 生き延びるための七講
内田 樹 (著)
文藝春秋 (2015/6/10)br />P378

DSC_4869 (Small).JPG英彦山


タグ:内田 樹
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